「やっぱ上手いね、バスケ」
愛理がそう呟いた。
「うん、小学校からやってるからね」
不意に、夏澄が龍心と愛理がしゃべっているのを見たって話を思い出した。
そのあと見たって話は聞かないし、本当にその場のノリで話してただけかもしれない。
でも、何かモヤモヤするものがあたしの中には未だに残っているのも事実だ。
「あのさ、「心奈、りゅう見てる時ほんと幸せそうだよね」
「え?」
あたしがあの時なぜ龍心としゃべっていたか聞こうとした時、愛理が突然そんなことを言った。
今、りゅうって、読んだ―――?
「ほんとは兄妹じゃないのにね」
「なんで知っ〈ブーブー〉
タイミングよく、愛理のケータイが鳴った。
「ごめん」
愛理はそう言うと、電話に出た。
「もしもし?うん、うん、はあ?…
わかった、あたしも行く」
そんな短い通話のあと、
「ごめん、早退する!」
とだけ言って、走って行ってしまった。
「えっ!?ちょっ、愛理!」
愛理を呼んだけど、時すでに遅し。
足が速い彼女の姿は、見えなくなっていた。
「なんで…?」
夏澄にもりこにも、友達誰にも言っていないのに…。
なんで愛理は知っているの―――?