それから数日経ったある日。

「ねえ、心奈〜」

「なに?」

「龍心先輩に愛理のこと、紹介した?」

「へ?」

昼休みに、夏澄が唐突に聞いてきた。

今りこは先生に呼び出されていて、愛理はまだ学校に来ていない。

つまり夏澄とふたりきり。

「してないよ?どうして?」

「いや、昨日さ、愛理と龍心先輩が2人でしゃべってるとこ見かけたから、紹介したのかな〜って」

「愛理と龍心が2人でしゃべってた!?」

どういうことだろう?

確かに球技大会の時、愛理に龍心はお兄ちゃんだって言ったけど、二人はしゃべってないはず。

「まあ、愛理彼氏居るから、狙ってるわけないと思うけど、それならなおさらなんでしゃべってたんだろう?」

確かに、龍心に近づく女子はたいてい龍心狙い。

だけど、彼氏が居る愛理にとって、龍心は眼中にないはず。

「あれじゃない?
愛理人見知りしないタイプだから、心奈のお兄ちゃんですよね〜?的なノリで話しかけたんじゃない?」

「あっ、そうかも!」

その場はそれで収めたけど、何か納得いかない。

愛理について知らないことがたくさんあるからかわからないけど、モヤモヤが続いた。


愛理には、何があるんだろう?