君色のこころ〜1番近くて1番遠い〜


次の瞬間、目を疑った。

チュッというリップ音と共に見えたのは、


キスしてる龍心と玲菜先輩。


付き合ってるなら、それくらいするよね?

でも、やっぱり好きな人がキスしてるとこ見るのはキツかった。

龍心がキスしてるのなんて、初めて見たから。


「じゃあね」

満足げに言って、玲菜先輩は帰っていった。

龍心も、その姿を見送って、家の中に入った。

あたしはその場にしゃがみこんだ。

「ふぇ…うっ…、うぅ…」

涙が止まらなかった。

その日は確か、そこで30分くらい泣いた。

それから頑張って泣き止んで、家の中に入った。

お母さんに遅いって怒られて、軽く謝ってから、ちょっと頭痛がするからと嘘をついて、部屋にこもった。

龍心と顔を合わせたくなかったから。

部屋に入ってまた冷静になると、思い出してしまうあの光景。

あたしはそれを思い出して、一晩中泣いたんだ――――――。