君色のこころ〜1番近くて1番遠い〜


また夢を見た。

龍心と玲菜先輩が付き合っている頃の夢。

「はじめまして、千葉玲菜です」

そう言って可愛らしく挨拶する玲菜先輩を、お母さんは気に入ったようだ。

最初の頃は頑張ってあたしも一緒にリビングでしゃべったりしていたけど、

増えていく回数が辛くて、玲菜先輩が来るとわかっている日は、できるだけ予定を入れておくようになった。

それでもやっぱり、予想外の訪問もあったから、そんな時は自分の部屋のベッドで泣いていた。

ある日、いつものように玲菜先輩が家に来ていたので、夏澄たちと遊んでから、家に帰った。

が、運悪く、ちょうど龍心と玲菜先輩が外に出て、見送るところだった。

とっさに近くの電柱に隠れたあたしは、こっそり二人の様子を見ていた。

「じゃあ、そろそろ行くね」

「ん、気をつけて帰れよ」

「うん」

そんなありきたりの会話が聞こえる。

やっと帰るみたい。

と、あたしは安心したが、