誰なんだよ?

「居ないって言われました…」

その言葉を聞いて、ほっとする自分。

「えぇー、おもしろくねぇ」

「俺の気になる人は、心奈に好きな奴できたら教えるって言っときました♪」

「うわ、何かいっちょ前なこと言ってやがる」

「へへへ」

そうやって騒ぐ二人を置いて、俺はシュート練に戻った。

心奈に好きな奴が居ないって聞いて、ほっとするなんて――――。




「全然ダメじゃねぇか」




俺がそう呟いたのと、ボールがゴールに吸い込まれたのは、同じタイミングだった。