君色のこころ〜1番近くて1番遠い〜


そう言ってあたしの顔をのぞき込んでくる侑希に、少しドキッとした。

イケメンにこんなに見つめられると、ドキドキするに決まってるでしょ!

「いっ…、居ないよ?」

また嘘をついた。

侑希、ごめんね。

「そうなの?」

「うん、侑希は?」

「俺はね〜、気になってる子なら居る♪」

「えっ!?誰々!?」

予想外の返事に驚きを隠せないあたし。

めっちゃ気になる!

「それは秘密〜」

「え〜!?気になるじゃん!」

「じゃあ、心奈に好きな人できたら教えて?
俺も教えてあげるから♪」

「えー、いつになるかわかんないじゃん」

そんな日はかなり先になると思う。

龍心好きなんて言えないし、

龍心以外の人を好きにならないと、そんな日来ない。

龍心以外の人を好きになるなんて、あたしにできるのかな?

多分、侑希が気になる人を落として付き合い始めるのが先な気がする。

「ま、がんばって♪」

「うー、わかったぁ〜」

「じゃあ、そろそろ部活行きますか〜」

「おー!」

あたしたちはそう言って、教室をあとにした。