あたしが不安に思っていると、
「あっ、龍心不機嫌じゃなくて、ここちゃんのこと心配してたの」
「へ?心配?」
啓介先輩があたしに耳打ちした。
「なんか心奈様子おかしいって。
それ気になったから、早くここちゃんに会いたかったんじゃないかな?」
気づいててくれたんだ。
なるべく動揺を隠そうとしてたのに。
嬉しくて、あたしは少し前を歩く龍心の後ろ姿を見つめていた。
それから電車に乗って、みんなしゃべっていたけど、龍心は疲れているのか、一人だけ寝ていた。
『次は〜』
あたしたちが降りる駅名がアナウンスで流れた。
「龍心、起きて。降りるよ」
あたしは隣で寝ている龍心に話しかけた。
「ん…」
声をかけただけじゃ起きてくれそうにない。
「起きてよ〜」
体をゆすると、やっと起きてくれた。
「はよ」
寝ぼけて挨拶してくる龍心。
いつもはあたしが起こしてもらってるから、新鮮だな〜。
「おはよ、降りるよ」
「おう」
電車から降りて、みんなと別れて二人で家まで歩いた。
