「あ〜、あんな彼氏欲しいっ!」
夏澄と宇海と別れてから、あたしとりこは駅の近くにできたカフェに入った。
注文をした直後にそう呟いたりこ。
「りこならすぐできるって」
「てかさぁ〜、心奈も彼氏作ろうよぉ〜」
唐突にそんなことを言い出すりこさま。
「え〜?やだよ、めんどくさいし」
「そんな理由で今まで告白してきた男子振って〜、もったいなぁーい!
高校生になったんだし、彼氏作ろうよぉ〜」
あたしは今まで、彼氏ができたことがない。
何回か告白もされたことはあるけど、好きじゃないのに付き合うのは相手に失礼だから、全部断ってきた。
「3人でトリプルデートしたいって、昔から言ってんじゃーん」
「はいはい、じゃあ、好きな人できるように努力しますよ」
「できたらすぐ報告ね!」
「もちろんですよ、りこさま」
好きな人できたらって、もういるんだけどね。
親友にも言えず、嘘をついている自分が、たまらなく嫌だった。
「てかさぁ〜、担任さぁ〜」
あたしは無理やり話題を変えた。