駅から家までの帰り道。
俺は心奈に啓介のことを報告した。
やっぱり心奈も驚いていた。
「なんかすごいよね、啓介先輩って。
何も考えてなさそうに見えて、全部お見通しって感じ」
「確かに、あいつはそういう奴だよな~」
なんて話をしていたら、不意に触れた互いの手。
繋ぎたくなる衝動を必死に抑えた。
さすがに地元で手繋いで歩いていたら、友達に見られる可能性大だろ?
「今度の休みさ、ちょっと遠く行かね?」
「へ?」
「俺らのこと兄妹って知ってる人が居ないとこ行って、堂々と手繋いでデートしようよ」
俺がそう言うと、心奈はいつものように笑って、
「うん!」
と言った。
「あっ、お兄ちゃーん!お姉ちゃーん!」
ちょうど家の前でバスケの練習をしている心結が見えた。
「みー、ただいま!」
「頑張ってんじゃん」
俺らが兄妹に戻った瞬間だった。
兄妹で恋人って言うこの関係がもしかしたら受け入れられないことがあるかもしれない。
けど俺は、誰に何と言われようとも、絶対にこの関係を守っていく。
ずっと想い続けていた心奈の為にも―――。
