「ごめんなさい。
でも、龍心を手に入れるためには必要なことだったから」
「それで侑希の気持ちを利用したんですね」
「ええ、使えるものは使っておかないと」
この人、本当にいつも部員を癒すマネージャーの玲菜先輩?
そう思ってしまうほど彼女は恐かった。
「そんな汚い手使って龍心手に入れて、満足ですか?
気持ちがないと虚しいだけじゃないですか!」
「あなただって、気持ちは龍心に向いているのに侑希くんと付き合ったじゃない」
冷ややかな目線をあたしに送る玲菜先輩。
それは紛れもない事実だ。
結局やってるとこは玲菜先輩と似ている。
それでも…、
「あたしだって彼と同じで、龍心の気持ちがあたしに向くように付き合ってたの。
あなたは今まで妹だからって一番近くに居て、気持ち伝えず逃げてきたじゃない!」
玲菜先輩の口調は激しくなっていた。
見透かされてたんだ、あたしの浅はかさが。
「……確かにそうだった。
妹だからって、家族を壊したくないからって自分に都合のいい理由つけて今まで逃げてきた。
でももう逃げない。
あたしは龍心が好き」