「いや、別に大丈夫です」

むしろ早いぐらいだ。

約束の時間の10分も前に彼女はやってきたのだから。

「そう、よかった」

いつもの笑顔で話す玲菜先輩。

「話って何かしら?」

この笑顔が、今のあたしには恐い。

何を考えているのかわからない玲菜先輩の笑顔。

恐がるな、逃げるな、あたし。

「率直に聞きます。

なんであたしと龍心が本当の兄妹じゃないって知ってるんですか?」

あたしは玲菜先輩と真正面から向き合うところに立った。

玲菜先輩は笑顔を崩さないまま続けた。

「そっか、侑希くんしゃべっちゃったのね。

仕方ないな〜。

あなたと龍心を保健室で見て、おかしいと思ったから、探偵に依頼したの。

そしたら案の定、すぐに調査報告が来たわ。

あなたと弟さんはお母さん、龍心はお父さんの連れ子で、血縁関係はない。

あなたの本当の父親のことも、龍心の本当の母親のこともね。」

玲菜先輩の笑顔に、あたしはゾッとした。

でも、負けたくない。

「人の過去勝手に探らないでください」

あたしは玲菜先輩を睨んだ。