「あたし、気付いたんだ。

龍心以外の人を好きになるなんて、できないって」

「え?」

「そもそもあたし、今まで妹だから、家族を壊したくないからって、気持ちを伝えることから逃げてた。

ちゃんとした失恋、してなかった。

だから、気持ち伝えて、ちゃんと失恋しなきゃ、龍心への気持ちは消えないと思うの。

だからあたし、ちゃんと龍心に気持ち伝える。

何年かかるかわからないけど、龍心への気持ちにけじめをつけたいの。

だから…、ごめん、別れよう」

あたしは侑希から目を逸らさず、まっすぐ見据えた。

「いつかこれ言われることが来るかもしれないって思ってたけど、まさかこんなに早いとは」

乾いた笑いをこぼす侑希。

「ごめん…」

「謝ることじゃないって。
こっちこそ、今まで付き合ってくれてありがとう」

なんて優しい人なんだろう。

こんな優しい人を傷つけるあたしは、最低だ。

「ごめんね、侑希…。ありがとう」

「なんでお前が泣いてんだよ〜」

あたしの頭をくしゃくしゃと撫でる侑希。

「俺、お前が思っているようないいやつじゃねぇよ?」

「侑希はいい人だよ?」

「……ううん、俺は最低な奴」

悲しそうに侑希が笑った。

「俺、心奈と龍心先輩に謝んないといけないことがある」

侑希は真剣な瞳でそう言った。