「龍心、手!」
手を握ったまま走る龍心。
「こうした方が早く走れんだろ?」
少し前を走っている龍心があたしを引っ張っているようになっている。
「あと、」
そう言って龍心が振り向き、
「俺の手はすごいんだろ?なら早く走れるようになるかもしんねぇじゃん?」
と言って、いたずらっぽく笑った。
「なっ、なっ、何言ってんの?自意識過剰!」
照れながらも反論するあたし。
でも、こんなこと言ってるけど、あたしはこの手から勇気をもらった。
今日頑張って、侑希に言えそうだ。
「心奈が言ってたんじゃねぇかよ」
そんなことを言いながら、駅まで走った。