龍心side

家のことを済ませて、心奈と映画を見に来た。

ずっと見たかったっていう青春映画。

野球部メインの話で、心奈が好きな俳優が出てるから、見たかったらしい。

「うわ、やっぱり人多いね〜」

「夏休みだからな〜」

チケット売り場には長蛇の列ができていた。

「頑張って並びますか」

「ですね〜」

映画の時間に間に合うか不安だったけど、なんとかチケットも買えたし、ポップコーンも買えた。

「てか龍心付き合ってもらってよかったの?」

ポップコーンを抱えながら俺の顔をのぞきこむ心奈。

そんな心奈にドキッとしてしまい、顔を背けた。

きっと顔赤いな、今…。

「別に、おもしろそうだからいいよ」

俺がそう言うと、心奈は安心したらしく、好きな俳優のことを語り出した。

「もう、本当にかっこいいんだからね!」

「はいはい、わかったって」

家でテレビ見てる時とかも、その俳優出てくると興奮するもんな。

なんか妬けるわ…。

なんて思いながら、映画を見た。