君色のこころ〜1番近くて1番遠い〜



「より戻すことないって……言ったじゃん…」

キィと少し錆びたようなブランコの音が、少し動くだけで聞こえてくる。

あの頃は新しかった公園も、時の流れには抵抗できず、錆びていった。

この近くに新しい公園ができたらしく、この公園にはあたし以外、人がいない。

大きくなるにつれてあたし達も公園で遊ぶことなんてなくなった。

「一人に…しない…って…言ってた…くせに…」

涙があたしの頬を濡らす。

涙は次から次へと溢れていく。

嗚咽も出てきて、しばらく涙は止まりそうにない。

「ふぇ…うっ…、龍心のバカ!嘘つき!」

誰も居ないことをいいことに、泣きながら叫んだ。

もう龍心は、この公園には来ない。

あの笑顔は玲菜先輩のものになってしまったんだ。

龍心の彼女は、玲菜先輩。

あたしは彼の妹。

この現実は、あたしなんかじゃ変えられない―――。