君色のこころ〜1番近くて1番遠い〜


ー9年前ー

あたしたちはいつものように二人でブランコに乗っていた。

あたしも龍心もブランコが大好きだったから。

その頃、公園はできたばかりで遊具は全て綺麗だった。

引っ越してきたばかりの我が家に遠出する予定はなく、いつも龍心と二人で新しい街を探検したりしていた。

「ねえ、りゅうくん」

「なに?」

「ちゃんとお友達できるかなぁ?」

幼いながらに、全く知らない街に全く知らない人達の中に入っていくのは不安だった。

当然春休みだからあたしたちに友達なんてまだ一人も居なかった。

あのまま前の街に居たら、同じ保育園の子と同じ小学校に通えたのだけど、この街には同じ保育園の子なんて居ない。

一から友達を作れるのか、不安だったんだ。

「できるよ、ここちゃんなら」

「でも〜」

膨れっ面のあたしに、幼い龍心は言ったんだ。

「安心して!僕が絶対ここちゃんを一人になんかさせないから!」

眩しいくらいの笑顔を向けて、龍心はそう言った。