心奈side
その日の練習は何をしたのか全く覚えていない。
いつの間にか練習は終わって、いつものように5人で電車に乗っていた。
あれから侑希と会話を交わすことはなかった。
いつも駅までの道の途中まで一緒に帰るけど、今日は用事があると先に帰っていた。
そんな侑希を誰一人怪しむことはなかった。
5人で話していても、上の空なあたしはみんなの話に適当に相づちをうっているだけだった。
何を話しているのかもわかっていなかった。
「心奈、着いたよ?」
夏澄があたしにそう言った時、電車はちょうど最寄り駅でドアを開ける時だった。