なんで俺は兄貴なんだろう?

兄貴じゃなかったら、心奈に気持ち伝えられんのに…。

もし兄妹じゃなかったら、全力で振り向かせるのに…。

「こんな現実…嫌いだ…」

俺はその場で倒れ込んだ。

しばはくして、がちゃっとドアが開く音がした。

心奈か?と淡い期待を抱いたが、声が心奈じゃなかった。

「龍心?」

「…玲菜か」

玲菜は俺の傍で腰を下ろして、俺をのぞき込んだ。

「何だよ?」

「さっき走ってく姿見えたから」

「そっか」

「心奈ちゃん?」

鋭い瞳で玲菜が言った。