「俺なら辛い恋にしない。
俺が龍心先輩を忘れさせてみせる」

そう力強く侑希は言った。

でも…

そんなの侑希を傷つけるだけだよ…。

あたしの気持ちはもう決まっている。

「ゆう「あっちぃー」

返事をしようと思った時、外から大勢の声が聞こえた。

時計を見ると、部活開始10分をきっていた。

「返事はいつでもいいから」

と言うと、侑希は離れていった。

その日は何事もなかったかのようにいつもと変わらない練習をした。

ひとつだけ、いつもと違ったのは、龍心と玲菜先輩が遅れてきたこと。

それでもあたしは侑希のことで頭がいっぱいで、そんなこと気にもしなかった。