侑希side

心奈と龍心先輩のあの光景を見た日から、俺は2人と自然としゃべれなくなった。

あの時の光景を思い出してしまうから。

「あー、ちくしょー…」

俺は昼休みに1人、屋上で寝転がった。

心奈と距離縮めたいのに…。

もう何日もぎこちない態度をとっちまってる。

あれ?てか俺、失恋したってことか?

告白もせず?

しかも相手は兄である龍心先輩?

「なんなんだよ…」

モヤモヤは大きくなるばかりだ。

「教えてほしい?」

「え?」

声がした方を向くと、入口のドアにもたれかかる玲菜先輩の姿があった。

「あの2人の秘密」

そう言いながらこちらへ歩いて来る玲菜先輩。

「心奈と龍心先輩の秘密…?」

「そう、龍心と心奈ちゃんの秘密。
侑希くんには特別に教えてあげる――…」