君色のこころ〜1番近くて1番遠い〜


心奈side

それからしばらくして、龍心の体が離れた。

もうちょっとこうしていたいと思う自分が居るけど、これ以上はダメだと思う自分も居る。

「わりぃ、取り乱した」

「うっ、ううん!」

あぁ、この人はあたしのお兄ちゃんなんだって現実から、今たまらなく逃げたしたい。

「母さん、あと15分ぐらいしたら迎えに来るから」

「うん…」

「じゃあ俺戻るわ」

「うん、運んでくれてありがとう」

「おう、ちゃんと寝とけよ」

龍心はそう言ってあたしの頭をくしゃっと撫でると、体育館に戻ってしまった。

一人になって、さっきの出来事を思い出した。

「龍心の背中、大きかったな…」

やっぱり、あたしは龍心が好きだ。

どうしようもないくらい、あたしの心は龍心でいっぱいなんだ。

「妹なのに…」

あたしはまだ彼の温もりが残る体で布団にくるまった。