君色のこころ〜1番近くて1番遠い〜


龍心side

「「心奈!!」」

休憩中、啓介と侑希としゃべっていたら、夏澄ちゃんとりこちゃんの叫び声が聞こえた。

声がした方を見ると、心奈が倒れていた。

「あっ、龍心!」

俺はすぐに心奈の元に走った。

あの時と、同じ気がしたから。

また、大切な人を失う気がしたから。

「心奈!」

「龍心先輩!心奈、立ち上がった瞬間倒れちゃって」

いつも冷静な夏澄ちゃんが、おろおろしながら説明してくれた。

心奈の額に触れると、ものすごく熱かった。

「こいつ熱あんじゃん」

「心奈ちゃん、大丈夫!?」

マネージャーの玲菜が氷を持ってきてくれた。

「玲菜、ありがとう」

「俺運びますよ!」

いつの間にか集まってきていた部員。

その中に侑希も居て、名乗り出てくれたが、

「いい、俺が運ぶ」

俺はそう言って、心奈を抱き上げた。

「でも!」

「心奈は俺の妹だから。
啓介、悪いけどこのあとの練習頼んだ」

心奈を心配する侑希に向かって、俺は【兄】という権利を使ってしまった。

「わかった」

「わりぃ」

そう言って俺は心奈を保健室に連れて行った。