龍心side

「侑希居ないと静かだよな〜」

シュート練をしながら、啓介がそう呟いた。

侑希は今日、学級委員の仕事で部活に遅れるらしい。

もちろん、心奈も一緒だ。

「まあ、侑希は今頃頑張ってるだろうね〜」

「……心奈か」

「そうそう!ここちゃん全く侑希の気持ちに気づいてないじゃん?
もうそろそろ勝負に出るんじゃないかな、侑希」

確かに、周りの人間はもう侑希の気持ちに気づいているのに、心奈は全然気づいていない。

侑希も最近はちょっと焦っているように見える。

勝負に出るなら、今日の放課後は絶好のチャンスという訳だ。

「気になる、お兄さん?」

「……別に」

啓介は俺と心奈が血の繋がりがないなんて知らないはずなのに、たまに俺を動揺させるような発言をする。

明るくて能天気なやつだけど、こいつは全てを知っているんじゃないかって、思うことがある。

そんな啓介に、助けられることだってあるんだけど。