美形な顔立ちと歌のセンスは母親譲り。
頭の回転の速さと女癖の悪さは父親譲り。
その二人は俺が十歳の時に別居した。
原因は親父の浮気。
でも、まだ籍は入ってるから一応夫婦だ。
母さんは親父からもらってる金で横浜の山下公園近くにバーを開いた。
母さんは店が暇な時はいつも片隅に置かれたピアノを弾いていた。
いつも短調の悲しげな曲を弾く母さんの背中は、寂しそうだった。
強がって飛び出したわりに、母さんは親父を忘れてなかった。
俺なんて目に入ってなかった。
そんな母さんを見るのが嫌で、俺は中学の頃ほとんど家に帰らなかった。
誰かとつるんでたわけじゃなく、ただ一人でぶらついてた。
たまに見知らぬ女の家に泊めてもらったりしてた。
女は良い。
顔が良いってだけで、見ず知らずの俺を家に入れいつでも温もりをくれた。
生きてる意味などなかった。
おそらく生まれてくる意味などもともとなかったのだろう。
真面目に生きるなんて馬鹿げてると思ってた。
それを見かねて母さんは、高校進学の時、俺を私立の男子校に入れた。
そこで慶介に出会った。
慶介は顔が良かった。
こいつとつるめば落ちない女はいないだろう、とそんな打算で近づいた。
だが、慶介は顔以上に性格が良かった。
誰かと、そして男とつるむのも悪くないと思った。
そしてその頃から俺と母さんの関係は良くなった。
頭の回転の速さと女癖の悪さは父親譲り。
その二人は俺が十歳の時に別居した。
原因は親父の浮気。
でも、まだ籍は入ってるから一応夫婦だ。
母さんは親父からもらってる金で横浜の山下公園近くにバーを開いた。
母さんは店が暇な時はいつも片隅に置かれたピアノを弾いていた。
いつも短調の悲しげな曲を弾く母さんの背中は、寂しそうだった。
強がって飛び出したわりに、母さんは親父を忘れてなかった。
俺なんて目に入ってなかった。
そんな母さんを見るのが嫌で、俺は中学の頃ほとんど家に帰らなかった。
誰かとつるんでたわけじゃなく、ただ一人でぶらついてた。
たまに見知らぬ女の家に泊めてもらったりしてた。
女は良い。
顔が良いってだけで、見ず知らずの俺を家に入れいつでも温もりをくれた。
生きてる意味などなかった。
おそらく生まれてくる意味などもともとなかったのだろう。
真面目に生きるなんて馬鹿げてると思ってた。
それを見かねて母さんは、高校進学の時、俺を私立の男子校に入れた。
そこで慶介に出会った。
慶介は顔が良かった。
こいつとつるめば落ちない女はいないだろう、とそんな打算で近づいた。
だが、慶介は顔以上に性格が良かった。
誰かと、そして男とつるむのも悪くないと思った。
そしてその頃から俺と母さんの関係は良くなった。

