「藍実ちゃん?」


声をかけられて 振り返ると


神坂君が立っていた


「・・・神坂君?」


「久しぶりだね? 中学の卒業式以来?」


「だね」


神坂君は 全然変わっていない


「裕・・・藍実ちゃんが通う高校に


転校したって聞いたんだけど」


「・・・うん ビックリしちゃった」


そう言いながら 少し笑った


私は いつの間にか


作り笑顔がうまくなっている


そんな気がした


「まだ・・・私の事


思い出さない・・・


もしかして ずっと忘れたままなの?」


また どうでもいい事を


思ってしまう・・・


「・・・そんな事ないよ


いつか必ず思い出してくれるよ」


神坂君は 私を慰めてくれた


「・・・私ね 付き合ってる人が居るの


その人に 裕の事を話した


わかってくれたよ?」


「そっか・・・ 裕さ


高校に入ってから


なんか 上の空だったんだ


藤川さんと一緒にいても


何か考えてるみたいな感じでさ」


ドクン


今は・・・聞きたくないよ


そんな事 聞きたくない