「藍実!」


名前を呼ばれて振り返ると


翔君が息を切らして


こっちにやって来た


「なんだよ? お前・・・」


「彼女から離れろ!」


翔君は 声を大きくして


そう言った


男の人達は ビックリして


私の手首を離して


逃げるように どこかに向かった


一瞬 裕かと思った


「大丈夫? てかここで


何やってんだよ・・・」


「・・・わかんない」


本当 何やってんだろ?


「翔君 なんで?」


「・・・この近くに


用があってさ」


「そっか」


なんか・・・バカみたい


その時 雨が降って来た


「とりあえず どこかで


雨宿りしよう


風邪引くから」


「・・・うん」


私と翔君は 近くの使われていない


海の家に向かった


少し古いけど 造りはしっかり


している・・・


普通の家と変わらないな


「・・・大丈夫?」


「あ・・・平気」


雨は どんどん強くなっていた


止みそうにないな


私は 窓の近くに座った