「…俺が行くから、雫は寝たフリしてて」

「でも、」

「いいから。そんな顔じゃ母さんに変に思われる。ね?」



コソコソと雫と話して、
陸が母親の元に駆け寄る。

残された雫が

ひゃーっ、とソファに
顔をうずめた。


初めて、

陸と、

弟と、


────キスをした…


嫌悪感よりも
罪悪感よりも

幸せの方が大きくて。


胸がきゅっとする。


「っ」


陸が好き過ぎて、
涙が出そうになった。