はー、やれやれ…
と、ため息をつく飯田。

そんな飯田を横目で見ながら
陸は廊下を突き進む。



「お前さ、何で特定の奴作らねぇの?こんなにモテんのに勿体無い。それとも何か?色んな女と関係もって優越感に浸ってんのか?」

「…そんなんじゃねぇよ」

「………お前、いつか刺されるぞ」

「それは心外だな。俺は迫られるから応えてる、だけ」



飯田は…、

唯一心を許せる奴。


それでも、

“雫が好き”

そのことだけは未だに言えない…



「…あーあ、雫が知ったら泣くだろうなぁ。大泣きだよ、大泣き。自分の弟が陰で女喰ってるなんてショックだろうなぁ」


飯田の言葉に
ピクッと身体が反応する。