「花梨」


「…あ、直人」


「陸人が泣きやまなくて、どうしたら…。ずっと外に出たまま帰ってこないし何かあったんじゃないかって…」





あたしと直人の息子、陸人も無事に今年で2歳。


清香ママはそんなあたしたちの姿を見てにっこりと笑う。




「幸せそうでよかったわ。私もあの人と一緒にこれから先を歩む。もう2度と、あなたたちには近づかないから安心してね」




ママはそう言うと2度とあたしたちを振り向く事はなく、去って行った。


直人も今のが清香ママだったと気付いたようだったけど何も言わずにあたしの頭を撫でた。







「俺達は俺達で、幸せになろう。陸人にだけは同じような道を進まないように」


「…うん」


「ほら、早く来てくれよ。陸人が泣きやまなくて大変なんだ」


「…直人どうせ渡すおもちゃ間違えたんでしょ」


「間違えてねぇよ!多分」









あたしが過ごした夜の街。


男が嫌いだったあの頃。


全てを変えてくれたのは、お隣の泥棒さんだけじゃなかった。



憎くてしょうがなかったあの人と

あたしを救ってくれた大切な人。

同じような境遇で育ったあたしに似てる人。




出会えてよかった。


ありがとう。



あたしは今、幸せです。



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