「あっ…直…!!直人!!!」


俺たちは周りの誰もが注目してしまうほどの目立ち具合だった。


お互いがお互いを確かめ合うように激しいキスをして、抱きしめあう。

これから結婚する花嫁が知らない男とだ。



目立たないわけがない。


あっという間に俺らは大勢の男に囲まれ、その奥にはクソ親父が立っていた。





「…回復早かったな息子」


「…てめぇに息子呼ばわりされる覚えはねぇ」


「俺の花嫁に手を出すってことは、海に沈められたい証拠だろ?」


「まだ式も挙げてないくせに何言ってんだクソが」


「残念ながら初夜はとっくの昔に済ませている」




俺は唇を噛みしめた。

でも、そんなことはどうってことない。



花梨の想いは俺だけのものだから。




「残念だけど、花梨は俺が幸せにするんだよ」




俺は花梨のことをお姫様抱っこのように抱きかかえた。

そして男たちをかわし、大勢の人の中を走り抜ける。