「…やだ!」
初めてお父さんに怒鳴られて、初めてお父さんに反抗した。
こんなお父さん大嫌い。
「なんだと?俺の言うことが聞けないのか花梨!!!」
「どうしちゃったのお父さん!こんなのわたしの好きなお父さんじゃないよ!」
「…黙れ!」
振り下ろされた拳は、わたしに当たることはなくお母さんの体に当たった。
「お母さん!?」
「…花梨ちゃん」
「お父さん!ひどいよ!」
お母さんは全治三か月の傷を負った。
少し怪我がひどくて、そのまま三日間は入院することになった。
二人がおかしくなった理由はお父さんが仕事でリストラにあったかららしく、落ち着いたお父さんから教えてもらった。
やっぱりお父さんはいつものお父さんで、わたしは少し安心した。
お医者さんや警察の人にお父さんがお母さんを殴ったということは内緒にしようと家族の中での秘密ごとにもなった。
「今日はお父さん特製のカレーだからな」
「うん!」
お母さんのいない三日間。
そこでわたしは地獄を見ることになる。

