中に入るとお父さんの靴がもう置いてあった。
「お父さん!もう帰ってきたの!?」
わたしはお皿が割れた音も忘れて、家にあがった。
キッチンとリビングの部屋に入ると目に映ったのはソファに座って頭を抱えているお父さんの姿と、割れたお皿の中にいるお母さんの姿だった。
「お母さん…?お父さん…?」
わたしの問いかけに虚ろな目を向けるお母さん。
お父さんは微動だにしなかった。
「おかえり、花梨ちゃん」
声はいつもの優しいお母さん。
でも、何かが違う。
「お、お父さん?お母さんどうしちゃったの?どうしてお皿こんなに割れてるの?ねぇ!!」
わたしは急いでお父さんに近寄った。
どうして?ねぇ、何があったの?
子供ながらに心配で、様子があまりにもおかしくて。
そんなわたしにお父さんはいきなり
「うるさいんだよ!!!!」
お父さんに怒鳴られたことがなかったわたしは驚いた。
「花梨は部屋に行くんだ」
「…な、なんで」
「いいから行け!」

