「神楽っ!早い早いっ!!」
「ちゃんと掴まっとけ。もう着く。」
えっ!
もう着くの?!
いや。ちょっと心の準備が…!!
「降りるぞ。」
神楽がそう言ったときには
もう神楽の足は地面に着いてた。
「ここが、妖世界…?」
そこは、森の奥深くで、誰も
住むことは出来ないような所。
こんな所に…
妖が…?
「ちげーし。ここから、妖世界に
行くんだよ。よく見とけ。」
神楽はそう言うと、右腕を前に出した。
すると、
みるみる紫色のような渦が出来始めた。
完璧に大きな渦が出来る。
「くるみ。入るぞ。」
「う、うん…。」
この中に入るなんて、
ちょっと緊張する。
神楽は、私が緊張してる事に
気づいてたのかな…?
私の手をギュッと握ってくれた。
「手ぇちっちぇー。」
神楽…。
緊張ほぐしてくれてるんだ…。
ありがとう…。
私と神楽は大きな
渦の中へと入った。