「優太、神楽が妖怪だって知っても
驚かなかったね。


…あ。私ずっと疑問に思ってたんだけ
ど、神楽、なんか保健室に居たとき
から、お肌がいつもより綺麗に
見えるの。なんで?」





笑いながらそう聞くと、





「やっぱ、気づいてねぇ…くくっ。」




え…。
なんで笑うんですか…?




「俺、妖だから、くるみの夢の中に
入るのってくそ簡単なわけ。


俺、くるみに出会ってから気づいた
んだけどさ、適当に、そこら辺に
いる女たちを使って、パワーを
貰うより、俺ん中に、“好き”っつー
感情がある方が全然パワー
もらえんだよ。


愛の力…?
なんつって。はは。」






愛の力…。

なんか嬉しいな…。


私と神楽との間には“愛”がある。





「神楽…。約束守ってくれて
ありがとう…。」



「約束…?」



「用心棒だよ。優太から
助けてくれた。」



「あー。当たり前。俺、くるみ
好きだから、守んのは当たり前だろ?」







…好き。


好きだって…。




嬉し恥ずかしい…。





「なぁ、くるみ。妖世界に
来てみないか?

俺の家族にも会わせたいし。な?」





なんと!!


妖世界に!


私行くの?!




あ。でも神楽の家族に
会ってみたいかも。



行ってみようかな。




「うん。行ってみる。」



「よし。さっそく
今から行くぞ!!」




えっ…?!


今からっ!?



うそっ?!




そう思っている間にも
神楽は私をお姫様抱っこして、



空き教室の窓を開けて、
そこから飛んだ。






「いぃやぁぁぁ!!!!!」





私の悲鳴が学校中に響き渡る。