「………………。」


淡々と、事務的に。


だけど、それらには決してないであろう怒りを含めた鋭い。そう、俺のことなんかどうでもよくて、彰にしか興味がない。


表面上はこいつも、人がいい浪士組の一隊士を装ってはいるが、その裏はどこまでも冷たくて。


そんな一条の顔に、声に、瞳に圧されながらも、俺はここに来る前に伝えると決めていたことを口に出した。


「俺は今夜、彰抜きでお前と二人で話すためにここへ来た。」


「話し、だと………?」


「あぁ、
今日は、一条に何で俺が彰にあんなことをしたのか、聞いてもらおうと思ってな。」


「……………何をいまさら。
今、俺がそんなことを聞いてなんになる。」


「違う。
これは、今から話す本題の前の前置きのようなものとして聞いてもらいたい。」


彰は俺が守らなくても十分に強い。だから、今から俺がすることはただの自己満足だ。


そんな俺の自己満足に、一条を巻き込む必要はない。だけど俺一人じゃ、“半人前”の俺じゃ、完璧に守れるかわからない。


もともと、自分自身が混血でも後悔はしたことがなかった。あの時も、彰をだました時も俺は彰に『俺は人間だ』と言った。


俺は、彰を愛すると同時に嫉妬していたのかもしれない。


半人前の俺と違って、一人前のアイツ。


後悔した、彰にあんなことをしたことを………


後悔した、自分が一人前じゃないことを………


後悔したんだ、彰にどうしようもなく嫉妬をしたことを………





……ナンデコンナニミニクインダ……