人気女優がタイムスリップ!? ~芸能界⇒島原⇒新選組~

「………うるせぇな。
そういうことは、こういう顔に産んだ親に言え。」


「いや、そういう意味で言ったんではないんですけど………
さぞかし、女性には好かれていたんでしょうね。」


「……………
それよりもう遅い。お前は部屋に戻れ。」


明らかに話を逸らした土方さんに気付きながらも、今の私の問題は寝床の確保。


「この格好で沖田さんの部屋に戻れと?」


朝の5時ぐらいまで鬼の姿になっている私は、この格好で沖田さんの部屋に戻ることはとてもできない訳で………


とりあえず、今土方さんの恋愛事情(と言えるのか分からないけど)よりも、また明日方忙しくなるのに、睡眠不足は問題なわけで………


「私に与えられた部屋があまりにも汚いので、沖田さんの部屋に泊めてもらってるんです。」


という訳で、私は少し嫌味を混ぜつつ、遠回しに部屋の要求をした。


「…………寝床の世話くらい自分でしろ。」


そんな私の真意を察したのか、土方さんは『図々しい奴だな』とでも言いたげな表情で私の要求をバッサリと切り捨てた。


でも,そんなことであきらめる私ではない!!


そう、島原で神経が図太くなった私は、これしきの事でめげたりはしないのです!!


どうしても、寝床を確保したい私は最終手段に出た。


「…………豊玉発句集(ボソッ」


最終手段というのは、沖田さんに教えてもらった土方さんが書いたといわれる豊玉発句集なのです!!


「どこでそれを知った………」


鬼の姿に、般若のような顔がプラスされて、この世のものとは思えない恐ろしい雰囲気を醸し出している土方さん。


【鬼+般若=とても恐ろしいくて真蛇以上】


私の頭の中には、こういう公式が組み立てられてのでした。はい。


なんて、場違いなことを考えている間にも土方さんはどんどん近づいてきて………