「そんなことではいけませんよ。あなたはまだこれからなんです、実家のことは兄様たちに任せて、あなたは自分のしたいことに専念しなさい!」


「お母様!はい、わかりました。」


彰の母、由梨は厳しい口調で注意するが、彰の顔は嬉しそうに歪んでいる。
その様子から、由梨は彰を相応可愛がっているとわかる。


「はぁ、あなたは。」


由梨も、口ではそう言ってるがまんざらでないようだ。


「ハハッ」


その様子を、悠斗はほほえましく思いながら見守っていた。



彰 side



いよいよ撮影が始まった。


「監督、今日からよろしくお願いします。」


「あぁ、Ayana君か、あともう一人来るんだが…。」


ガチャッ


その時第二スタジオの扉が開いて、次の瞬間スタッフが事務的に叫んだ。


「三条翔さんが入りましたー。」



すると、監督が待ってましたと言わんばかりの笑顔を見せる。


「三条君、こっちにき給え。ドラマに出演する人は集まってくれくれるか?」


「「「わかりました。」」」




「打ち合わせは済ませたが、三条君は実家の都合で出れなかったからみんな改めて自己紹介をしよう。では、三条君から。」


「はい、○○社所属の三条翔と言います。よろしくお願いします」


パチ パチ パチ…


そうやってどんどん順番が近付いてきてとうとう私の順番が来た。