歴史やネットの資料には『鬼の副長』と書いてあった土方さん。だけど、今姪っ子のことを思ってほ微笑んでいる土方さんに鬼という言葉とはかけ離れていた。


「土方さんもそんな顔するんですね……」


ピクッ…


「な、何のことだ…」


私がつい本音を言うと土方さんは眉間にしわを寄せ、またいつもの表情に戻ってしまう。そして踵を返しながら枡屋に早足に向かう土方さん。






「おい、美千代はいるか。」


「ゼェ、ゼェ……
ま、待てくださいよ……」


あの後、(おそらく)照れた土方さんを追いかけるために、しばらく使っていなかった身体でいろいろと現役の土方さん追いかけるのは大変で体力を使い果たしてしまった私。


『また、悠斗に柔術の手合せしてもらおう……』


そう、小さな決意をした今日この頃………






「歳三叔父さん!
どうしたんですか??」


その女の子らしいかわいい声で意識がこっちに戻ってきた私は、『歳三叔父さん』という言葉と普段の土方さんのギャップに笑いそうになるのをこらえていると……


ギロリッ!


土方さんににらまれた気がして、わざとらしく口笛を吹いてごまかしたのだった……


土方さんはあきらめたのか、用事の会話を続けていた。


「実家のお袋からこれを美千代に渡してくれって、文と一緒にの俺のところに届いたんだ。」


そう言って、よくありがちな紫の風呂敷をどこから出したのか美千代さんに渡す土方さん。