≪マンション最上階≫

私は、オートロック式のドアに部屋の番号が書かれてあるかーどキーをさしこむと、ドアが開いた合図に出る電子音が流れたのを確認したのち、その頑丈なドアを開いた。


「ただいまー。」


「おぉー、いつ来てもスゲェーな。」


「毎回同じこと言ってんじゃん。いい加減慣れてよ。」


毎回お決まりとなっているこの会話を繰り広げた私たちは、まだこの部屋の広さになれない様子の悠斗を置き去りにして、ソファーにバックを無造作に放り投げる。

「お邪魔しまーす。」


「じゃあ、夕飯作るから適当にテレビみててー。」


「おう。」


私とは別のマンションで一人暮らしをしている悠斗は、ついでに自分の分も作ってくれと前に頼まれたことがあったので、しょうがなく私が作っているんだよ。


食費は割勘ね。



 20分後


「夕飯で来たよー。」


二人はたわいない会話をして食事を勧めていくと、テレビからここ3年間を振り返るニュース番組が流れた。



「では、アナウンサーの高木さん。この三年間で一番衝撃を受けたニュースは何ですか?」


「えー、私はやはり人気女優だった『Ayana』さんのことですね。私の子供がファンだったので、私も子供もいろんな意味で衝撃を受けていました。」


「私もあのニュースには正直、何とも言えない気分になりました………。」

                        
テレビの雑音が、どこか遠くの世界で流れてる音楽のように聞こえながら私は昔のことを思い出していた。