「であるからして、この式はこう成り立つ。では、この問(1)を…出席番号二番は一ノ瀬だな、じゃあ一ノ瀬でてこい。」


シーン…


「一ノ瀬!一ノ瀬起きろ!!」



  彰 side   



私はいつものように、暇な授業の時間を寝て過ごしていた。そうしていると、隣の席の紗代ちゃんが小さな声で起こしてくる。


「あきちゃん、あきちゃん!あきちゃんが寝てるから先生怒ってるよ。」


私は席から跳ねるように立ち上がると黒板に向かっていった。先生は若干こめかみをひくつかせながら、それを理性で押さえつけるように口を開いた。


「一ノ瀬この問(1)をといてみろ。」


 カッ、カッカッカッ


チョークが黒板にあたるときに出る、独特の音を鳴らしながら黒板にどんどん書いていく。


普通なら普段寝ている生徒がすらすらと答えを書いていったらおどろくところだが、みんななれたもので彰の手をただ静かに見つめている。


「先生できました。」


私はしばらくするとそう言って、早々と席に戻っていった。