「ん………
紗代ちゃん!?」


私は意識がはっきりしない中目をさまし、はっとしたように紗代ちゃんの名前を呼んだ。


「すーっ、すーっ、」


そんな寝息が隣から聞こえて、私は安堵のため息を吐く。


「ふーっ、よかったぁー。」


私は、思考回路が回復してきてあたりを見回した。



「…………っ!!!」



そこに広がっているのは、まさにこの世の地獄絵図だった。


燃えるバス、血を流しながら倒れている生徒や先生、運転手


「うっ、カハッ」


私は、体内の胃液を吐き出した。


だって、まだ10歳にもなっていない私には残酷すぎたから………


そんな絶望の中、私は体の異変にきずいた。


私が必死に守り抜いて、隣で寝ている紗代ちゃんでさえ体中に擦り傷・切り傷を浴びている中、私はかすり傷一つさえついていない。


確かに前から、傷の治りは早かったけどそれは体質だと思っていた。
それにしては今の私のかっこうは不自然すぎる。
 

「何でっ、何で服ほボロボロなのに怪我が一つしていないのよっ!!」


そう、その時の私のかっこうは服は破れ体中土だらけで髪はボロボロなのに、
傷は一切なかった。


私は混乱の中、先生のケータイで救急車を呼んだ。