人気女優がタイムスリップ!? ~芸能界⇒島原⇒新選組~

「水無月組、ですか………

たしか、脱藩浪士や借金などで破綻した商人や農民を主に組員としていて、主に賭場(とば)を稼ぎ処としていると聞いたことがあります。」


………………えっ?


賭場って何?
………あぁ、確か賭場ってヤクザのカジノみたいな所か。


………………えっ?


確かに、飛鳥さんそれらしいことは言ってた気がするけど………


………………えっ?


「噂って怖いね、そこまで知られてるんだ。まぁ、いいや。ちなみに、俺が経営している酒屋はそういう人たちの情報交換をするための場所なんだ。

ああいう所が、人にも聞かれないし怪しまれない。もし、誰かに聞かれたとしても世間話してました、って言えばだいたいの人はそれで納得してくれるでしょ?」


「なぜ、そのようなことを僕達に?」


「俺はね、生きていく上で部分の害になりえる情報は絶対に漏らしたりしないんだよ。この意味、分かるよね?」


私の頭がフリーズしている間にもどんどん続いていく会話。


「それは、僕があなたの害に………なりえないと。」


少しだけ沖田さんが沈黙をしたと思ったら、私と乙葉ちゃんの前にかばうようにして立っていた沖田さんは、いつの間にか抜刀して飛鳥さんの目の前に立っていた。


背中しか見えないけど、沖田さんからピリピリとした殺気らしきものがあふれ出しているようで、その刀の切っ先を飛鳥さんの首にあたるか当たらないかの距離で向けて口を開いた。


少しの沈黙の間、しかも数秒と立たないうちにその動作を終えた沖田さんはやっぱりすごいと思う。


でも………完全に私の存在忘れてるよね?


「そういうこと。

今までの出来事でも、俺からしたら通り道に大きさが一寸(約30㎝ぐらい)の石が落ちている。それをよけるような、その程度の些細な出来事でしかないってことだよ。」


沖田さんの殺気を何もなかったようにしている飛鳥さんもさすがだと思うけど、私もそろそろこの状況の整理が頭の中で着いているわけで………


「私にとって飛鳥さんが若頭だろうと商人だろうとどーでもいいんじゃぁーい!!」


大声て、しかも息継ぎなしで叫んだ私はさすがに呼吸が荒くなる。でも、叫びたくなるのはしょうがないと思う。


そう、私にとってそれはどうでもいいこと。


別に酒屋がそーいう人たちの情報交換の場所だろうと、私お酒を売ってくれればそれで文句はない。


沖田さんの登場で飛鳥さんは乙葉ちゃんに謝ってもらおう計画も、流れてしまっているこの状況。