我が家で消費できない食べ物を小原家に持って行くと、物凄く喜ばれる。

…西園寺家に届く菓子類の殆どは【小原家行き】になる。

俺が持参したホールケーキにナイフを入れ慎重にカットする舞衣の顔は
真剣そのもの

小原家の人々が一点集中、

ホールケーキとそれをカットする舞衣を熱い視線で見つめる。

この空間には只ならぬ緊張感さえ漂っている。

「「「はぁあああーー」」」

ケーキを切り終えた舞衣からも、それを見守る家族からもため息が漏れだす。

いつみても「お見事」と自然に声が出る位、寸分狂いのない綺麗な等分だ!

同じため息でも舞衣と家族とでは意味合いが違うらしい…

舞衣は等分にすることで仕事をやり遂げたような安堵のため息。

小原家メンバーのため息は「今回も同じ大きさか?残念!」の意味合いらしい。

ケーキ1つがイベントに変わる小原家に居ることが楽しくて、

俺は今日もこの場所に来てしまうんだ…