―それは去年のことだ。

俺はその時はまだそれほどバスケに熱くなく、毎日与えられたメニューを淡々とこなすだけだった。

自主練なんて時間と体力の無駄だと言ってやらず、練習が終わったあとは速攻で家に帰って飯食って風呂入って寝るという生活をしていた。

―だが、そんな生活が変わったのはある日の試合でのとある出来事だった。

その試合は夏の大きな大会IH(インターハイ)に出場できる最後のチャンスだった。

俺が通う西城高校は、毎年ギリギリでIHに出場できる、それほど強豪校でもない中堅校だった。

今年も例年に同じく、出場できるかできないかの瀬戸際に立たされていた。