カナトが怒りを滲ませて、教室の一点を睨んだ。 「分かってるよな?自分で。渡瀬だろ?」 カナトが睨んでいたのは同じクラスの渡瀬美紀〈ワタセミキ〉ちゃん。 クラスでも目立っている。クラス内の食物連鎖のピラミッドならてっぺんにいると思う。 「え?私?そんなわけないじゃ…」 「お前だよ。お前しかいねんだよ」 確かミキちゃんは1年の初め、バスケ部のマネージャーをしていた。 でも、仕事をしないでやめさせられて行った1人。