(真希じゃない…)

真希であれば声をかけるはずだから。

目を開けて、上体を起こそうとする。

でももし知らない人だったら…

そんな不安がよぎり、そのまま寝た振りを続けた。

段々と足音が遠ざかる。

ドアが閉まる音を聴いて、ゆっくり上体を起こした。

「…誰だったんだろう」

肩をゆっくり触る。

肩にかかった微かな正体は、ジャージだった。