「聞いてんなら返事してくれよな。無視されたかと思ったじゃねぇか」


「......」


「ほら、そういうとこ」


「榊に言われたくない」


横目でチラッと見た後、すぐ榊から視線を逸らす。


別に、無視してるわけじゃない。


「薫......いつもに増して酷ぇな」


「......酷くないよ」


榊が変わっただけ。


だって、いつもは『お前』とか言ってるのに、付き合いだしてすぐ『薫』って呼び始めたし。


最初は驚いたけど、慣れた。


でも、あたしは相変わらず『榊』と呼んでいる。


その方が自然だし。