何事もなかったかのように装って、鞄のチャックを開けると、中から教科書を取り出す。 ......陽架里は、今どんな事を思ってるのかな。 ふと、そんな事を思う。 昨日の言葉が、少し引っかかるんだ。 『信じられない』 その言葉を、あたしはまだ理解出来ないまま。 ...どうしてこうなったんだろ。 陽架里とは、こんな風になりたくなかったのに。 手に持っている教科書を見つめながら、込み上げてくる熱いものを抑える。