やっておいた1年生のドリルを渡し、テストと言って渡されたプリントにとりかかる。
一通りやり終わって、息抜きにドーナツをつまむ。
「そういえば、さ。
今泉もお茶を習っていたんだ。
だから、お香の匂いがしたんだね」
「いや、お茶は習っていない」
「えーと?
じゃ、お煎茶?」
「あえて言うなら女の抱き方?」
麗華が仕上げてきたドリルをめくりながら、さらっと答えた。
「悦ばし方とも言えるか」
ドリルから目を離し、固まっている麗華へにやっと笑った。
どう説明するか考え、出した結論は、誤魔化さないだった。
嘘は面倒だ。
嘘を嘘で塗り固めていくことになる。
「げっ」
「なに?」
わざとそっけなく聞き返した。

