「今泉くん?」
3組の女子に声をかけられて、怜士は麗華たちの後姿から視線を剥がした。
「あいつらの代わりに、ここにいなくちゃいけないだろうな」
怜士はさらりと言って、当番室に入るとベンチに腰掛けた。
「そうだね~。
困っちゃうね」
そう言いながら、嬉しそうに怜士の隣に腰をかけた。
何気なく足を密着させ、体をひねるようにして、怜士のほうを向く。
一つ余分にあけられているブラウスのボタン。
判りやすすぎるのに、怜士は苦笑して、ポケットからスマホを取り出した。
見回り中も、べたべた触ってきて、うっとおしかった。
「増田さん。
悪いんだけど、週番日誌、お願いしてもいい?」
「えー、うん、わかった」
そもそも3組の週番室居残りが書くのだから、お願いもなにもないのだが。
怜士はやっと解放されると、スマホに戻る前に、ちらりとカフェテリアの方向へ目を走らせる。

